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2008-03-28 Fri 11:28
しばらく記事の更新が滞っていて申し訳ありません。
今週末からまた少し外出するので、さらに更新が遅れそうです。 よろしかったら8年も昔に書いた雑記がございましたので、 次の記事までの「箸休め」としてお読みいただけたらと思います。 少しだけ、この雑記に関する補足をさせてください。 2000年8月、旅の途中に暇に任せていつものように空想していたら 物語が進行していきました。 それを書き留めたものです。 肉付け一切なしのぶっきらぼうで、稚拙で完成度の高いものではなく、 お恥ずかしい内容です。 2000年8月は、精神世界に落ちる直前でした。 ですので、精神世界に関する知識などはない状態で、 感覚的にそれを掴み始めていた頃だったのかもしれません。 ちなみにタイトルの「In the Maze」はその頃から今でも身に付けている ホピ族のインディアンジュエリーのモチーフから頂きました。 Mazeは迷宮の意味ですが、子宮のニュアンスで捉えています。 それでは、よろしくお願いします。 In the Maze ここには女がいる。24歳、誰が見てもルックスはバランスが取れている。 服装はこざっぱりとシンプル。 場所はマラケシュ。 雑然と混沌が溶け合う異国、タクシードライバーとの激しい口論。女は相当疲れていた。 日本からはるか西。1年と4ヶ月かけ女はここまでやって来た。 頭は朦朧とし、もう少しで理性が女から離れる時。 「Fuckin’poor!! Such a prick!!」ののしりは数分続いた。 相手が何語をしゃべっているのかも聞こえない。 女はまくしたてる。それから1分後、女は始めて理性を脱いだ。 = = = = 女はとても背が高かった。 視線を数十度スクロールさせる。 お母さんと子どもが見えた。 女から涌き出るさくらんぼを親子はつむぎ、とびっきり完熟したひとつを頬張り、笑顔を見せた。 それを見て女も嬉しかった。 = = = = 女が人間の女だったとき、女は歳をとって死んだわけじゃなかった。 祈りの言葉もないまま、ただ内密に遺棄されたのだ。マラケシュのドライバーの小汚い手で。 無念にそれを思うまもなく女は死んだ。こうもあっさりと。 そして郊外の山に捨てられ、傍らの流れに従い滝壷で丸2日洗われた。 同じように肉体以外の部分、魂もまた洗われた。流され、打ち上げられた。 泥土の上にその体は横たわっていた。 2日間の水は女を醜く変え、張りのあった小麦色の肌はどす黒い紫に。 白くきれいに並んだ歯ももはや数本を残すのみだ。折れている歯もある。 醜い女。 魂はかろうじて女であり続けた。もはや、個体としての女はいない。 泥に溶けていく。誰にも知られず、長い長い年月をかけて。 女の魂は泥に帰化しゆく長い年月の間優しい愛撫を受ける。 バクテリアだ。時に痛くもあるが性的な悦びに近い感覚だった。 飽きることなく女はそんな感覚を楽しんで過ごした。目を閉じ、うっすら浮かぶ恥じらいと快楽の笑み。そうして女はきれいになった。豊かな栄養を含む美しい土の一部となった。 女が人間の女だったとき、女は「土」という言葉しか知らなかった。 また、土に対して、何の頓着もなかった。土はいつでも人間の下にあるものだったし、旅の途中むき出しのままの土に女はしばしばうんざりした事もあった。 「アスファルトくらい敷かなきゃ。車ちっとも進まないし。」疲れたとき女は投やりになった。 = = = = 今はどうか? 女は土になっている。 土は生命のファンダメンタルという事実に気づく。 アリもミミズも同様のことを女に伝えてきた。女を頼りにしている生命体が無限にあることを知る。 ヒトだってそうだった。 心が洗われていく。 皆が女を好きで、女もまた彼らを愛した。 愛が溢れると、女は大きくなった。広い土地となった。 心の純度・欲の減少。タイミングを見計り、内なる声が女に話しかける。 「望むものは何?」 女「ヒトが私の上にアスファルトを乗せようとしています。違う場所に。」 女は地中深くに潜り、深層に帯びる水に身をゆだね海を目指す。だいぶと長い時間を経る。 あまりの眩しさに目が開かない。 目が慣れるとそこはずっと昔、女が人間だった頃に見た風景だった。 いま女は、2回目の地中海にこころを奪われていた。 = = = = 人間のとき、女の旅は沖縄から始まり、台湾を経て上海へ。ユーラシア大陸からヨーロッパへ。西回りでネイティブアメリカンの聖地、今はアメリカと呼ばれている大陸には行けなかった。 = = = = 人間だったときの記憶が女をアラスカに導く。 女は海流に乗る。結構早い。回遊魚が女と一緒に泳ぐ。 魚は女の肌の感覚が好きで、自分の体にそれが必要なことを知っている。 女は、無償に魚のえさとなった。魚がいかに女を食べようとも、有り余る広さを女は持っていた。 女は自分から出る水泡がプクプクと水面まで上がりはじけていく様子を眺めるのを好んだ。 潮流は日本近海を通る。 女は伊豆半島を通るのをいつも楽しみにしていた。 そこは、女にとって、刺激と安らぎという相反する感情が併存し得る唯一の場所であった。 静岡という場所。過去に何かがあった筈だった。今でもくっきりと残っている記憶があった。 また富士山もその形を変えることなく美しくあった。 黒潮はアラスカには届かない。潮流は何年経ってもその流れを変えることを知らない。 「今回もアラスカには行けないわ。」 大きな地震。大きな波。パーフェクトウエーブと呼ばれるそれだ。 数メートルにも及ぶ高さを持って女にせまる。しかし女は平気だった。 ただ何処にいるかが分からないだけだ。 ベーリング海峡? このまま行けばそこに着ける。 東南アラスカ、シトカという美しい港町、そこから少し下った離島に女は流れ着いた。 女はさらに豊かな土となっていた。 見た目も質も良い土だった。今では女は島の大半にまで広がりを見せていた。 風や鳥がいろんな種を運んできた。 女にとってそれは女にやってくる友達だった。沢山のそれ達が来る。 その中には安らぎとVisionをもたらす不思議な草もあった。 その雄株はヘンプとか麻と呼ばれる繊維となり、人間をシンプルに飾る。不思議な草であった。 女は島全体の生命の母となった。 ある時から、体が痛む。雨が酸性を帯び始めている。30年、40年。女は蝕まれ弱る。 「お願いです。私を果実の木にしてください。やはり人間が強くなりすぎました。良い人間も私は知っています。その者達が私を守ってくれるでしょう。私は彼らを愛し繋がりを持つことを望みます。私はずっと昔にその感覚を知っていました。そこから始まる気がするのです。」 女の内から発せられる言葉は彼女に同意する。 「この星をも見守る生命にもなれる、、、、でも、木になりたいの?」 「しかし私は多くを望みません。シンプルに、したいと思うことをしたいの。」 対話はあっさりと完結した。 = = = = = 女はさくらんぼをつける木だった。 木の女は甘いさくらんぼや、苦いさくらんぼ、すっぱいさくらんぼをつけた。 少々むらのある、人間くさい木だった。 そんな木だったから、人は女に優しく声をかけた。 6年もすると女はとびっきりの桜の木となり、人々に様々な表情を見せた。 とびっきり甘美な実をもつけるし、美しい花も咲かせた。 = = = = = 23歳くらいの男がおばあちゃんと歩いてきた。 女は日陰を作り、実をさらに赤らめ、彼らに与えた。 この男との妙な同調。 「きっと昔に会っている筈だね。」どちらともなく心で話す。 女は「違うわ。」 男も「そうだね。」「僕、お姉ちゃん欲しかったけど、僕に姉はいなかった、、、。」 ふと、おばあちゃんに声をかけられ、男は我に帰る。2人とも優しい表情でしばらく話をしていた。 風と緑と光があたりを包み、女はその光景を飽きることなく見守った。 = = = = = 女は回想する。人間だった頃の我を。20歳そこそこで閉じた肉の体としての命を。 女は愛せる者を多く持てなかった。 欲も多分にあり、投やりになる気持ちも、刹那的な気持ちも持っていた。 女がタイを訪れたとき、誰も知らない村の長老に会った。 長老はかたくなに70年の生涯を生きていた。 知識、洗練、近代的な物なんか何も知らなかった。 政治体制も国政も経済さえも彼は知らなかった。 しかし女は、かたくなに年月を重ねてきたエルダーの重厚に魅せられた。 彼は大きく、村人は彼を尊び、彼は村の支柱だった。 彼は無欲であり、資本主義的な昇華に興味を示さず、人間としての高尚さを持つに至ったのである。 女はただ魅せられた。 = = = = = 醜い姿で土に帰るとき、女はある種の見栄を捨てた。 いつしか肉体は衰え、誰しもが若さや外見の美しさに固執する。女はこれを捨てた。 = = = = = 豊かな大地となり女は多くの愛を知る。平等に。女はおおらかな女になった。 = = = = = 木となり人を喜ばすことの美しさを知る。 花を咲かせ実をつけ、そこに生き物が集う。 男と会い、唯一絶対なつながりを感じたがそれも違った。 今、そこで女は綿々と生きている。 多くの繋がりの中で生かされている事を知り、自分は決して特別ではないことに気付き、 また、自分がこの完成された輪の重要な部分であることに気付く。 女がそうであるように、すべての生命がそうなのだ。 生命の織物の一糸。すべての欲は流れ、無為で有機な美しい生命体となった。 = = = = = 胎児だったとき女は知っていた。長い旅をし、女はそれに辿り着いた。 出口は入口を果たしただけでいい。 女は旅の途中なのだ。 |
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旅の途中
以前、この物語を読ませてもらったことがあったのですが、もう一度、丁寧に読ませてもらいました。旅の途中で殺されちゃうところとかは、ギョギョっとするのですが、最後の閉めがとても綺麗で、不思議と納得させられます。
ちょぴっと、エジプトのオシリスとイシスの神話を思います。オシリスという男性は、弟に殺されて、ナイル川に遺体を流されてしまうってな話です。遺体は妻のイシスがりんごの木下で介護し、イシスが一生懸命に神に復活を願ったので、オシリスは息を吹きかえしたという話です。 旅をしてるときに感じる、驚きや、幸福感、不安やちょぴっとした寂しさなどが、なんとなく伝わるようにも感じました。この物語と私の思ってることが合うかどうかは分かりませんが、旅をすると、不思議と、キューっと世界を抱いてしまってるときがあるように思います。知ってる国も知らない国も、やっぱり一緒で、それでも一緒でないような気がして、時には自分が大きく成長するのがわかり、時には、それでも自分が小さすぎてどうしょうもないように思ったり、なんかそんなことがあるのが旅のような気がします。そんなことを思い出させる物語でした。
2008-03-30 Sun 14:04 | URL | モンチ #-[ 内容変更]
Re: モンチさん
モンチさん
いつもコメントありがとう。 エジプトの神話はとても面白そうだね。 最近旅モードなのです。 物理的な最後の旅を企画中で、 候補は3つです。 ・スペイン・フランスのピレネー山脈の巡礼の道を歩く ・南米 ・インド・ネパール やはりインド・ネパールになると思います。 モンチさんが書いてくれたような旅の感覚を再び感じられると思うと、今から楽しみです。 今度はネパールインド編の雑記が出来るといいな。 はじめまして。
伊豆半島の片隅に住んでいますww 言葉でうまく言えませんが 壮大で精妙であたたかい「澄んだインスピレーション」を感じさせていただきました。 ありがとうございます。 また遊びに来ますね。
2008-05-07 Wed 12:45 | URL | MAHYA #-[ 内容変更]
>MAHYA さん
ご訪問有難うございます。
そして、稚拙な文章を最後まで読んで下さり、 コメントまで頂けてとても嬉しかったです!! 同県人なんですね。 自然の力が非常に豊かな土地で、 年を取るにつれ好きになって行きます。 南伊豆にはスパイスドッグのような良いお店もありますしねww ブログ自体もまだまだな出来ですが、 これからじっくり取り組んでいきますので、 また来てくださいね。 本当に有難うございました。。 こんにちは。
ご了解も得ず、勝手にリンクさせて頂きました。 以前、子供向けの教育番組で見たのですが 伊豆半島って、どこからかドンブラコドンブラコと流れてきて 日本大陸?に合体したんだそうですね。 だから外来の島なんだそうです。 言葉遊びですが 伊豆=出ず(る)としてみると またどこかへ「出て」いったりしてwww いろいろイメージしてみると楽しいですね!
2008-05-08 Thu 09:55 | URL | MAHYA #-[ 内容変更]
>MAHYAさん
リンク有難うございます、
僕もリンクさせていただきますね♪ そうそう、伊豆半島は島で本州に衝突したんですよね。 地学的事実みたいです。 植生も明らかに違いますし、あの規模の半島であの山の高さはちょっと不思議ですものね。 富士山と同時期に噴火した伊豆の姉妹山の話知っていますか? 綺麗で切ない話ですよ。 MAHYAさんのブログめちゃくちゃいい感じですよね。 お気に入りに入れさせて頂きました。 今後とも良いお付き合いをお願いいたします★
2008-05-08 Thu 17:25 | URL | Santi #-[ 内容変更]
お気に入りに入れていただいたとは恐縮至極です。
こちらこそよろしくお願いいたします。 タイトルにもあるようにほとんど独り言の世界ですが なにせタイピングが好きなものでwww まあ、気に入ったとこだけ読んでくださいね。 富士山と同時期に噴火した伊豆の姉妹山の話はまったく存じませんでした。 伊豆半島に住んではいますが、ほとんど何も知らないので ぜひその物語も書いていただけたらうれしいです。
2008-05-08 Thu 20:51 | URL | MAHYA #-[ 内容変更]
>MAHYAさん
コメント有難うございました。
ちょっと良い話、期待していてくださいね。 でも、もう少しお時間下さい。 コメントいただけて うれしかったー やったー 今後ともよろしくお願いしますね♪
2008-05-09 Fri 14:44 | URL | Santi #-[ 内容変更]
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